Radiohead 「KID A」を2021年に聴くという事

イギリスのロックバンド、Radiohead(レディオヘッド)が2000年に発表したアルバム「KID A」を久しぶりに聴いてみました。

発売から20年以上経過している作品ですが、この2021年というタイミングで聴くと以前とは違う響き方があります。

Radiohead とは

イギリス・オックスフォード出身の五人組ロックバンド。1992年のデビューから現在までに、9枚のアルバムを発表。その殆どが名盤として語られ、「creep」「Pyramid Song」などヒット曲も多くあります。

メンバー

トム・ヨーク(vo,g,key)

作詞を担当する中心メンバー。

ジョニー・グリーンウッド(g,key)

奇才ギタリスト。「ノルウェイの森」など映画音楽でも引っ張りだこ。

コリン・グリーンウッド(ba)

ジョニーのお兄さん。幅広い楽曲に対応する敏腕ベーシスト。

エド・オブライエン(g,cho)

コーラスもできる器用なギタリスト。

フィル・セルウェイ(dr)

スキンヘッドのドラマー。多種多様なリズムを求められるが、必死に食らいついている姿が胸を打つ努力家。

KID A

リリース

2000年9月27日(日本)

2000年10月2日(UK)

2000年10月3日(US)

プロデュース

ナイジェル・ゴドリッチ

レディオヘッド

収録曲

1.Everything In Its Right Place

2.Kid A

3.The National Anthem

4.How To Disappear Completely

5.Treefingers

6.Optimistic

7.In Limbo

8.Idioteque

9.Morning Bell

10.Motion Picture Soundtrack

Radiohead 「KID A」を2021年に聴くという事

全10曲の6曲目に「Optimistic」(オプティミスティック)という曲があります。

Optimisticを直訳すると「楽観的」。

全ての作品において、「楽観的」な表現が少ない彼らRadioheadですから、らしくない感じがして少々面食らうタイトルです。

この歌詞を見ていくと

Flies are buzzing around my head
Vultures circling the dead
Picking up every last crumb
The big fish eat the little ones
The big fish eat the little ones
Not my problem give me some

提供元:Musixmatch ソングライター:Radiohead ©️Warner/chappell Music Ltd

と始まります。

訳せば、

”ハエが僕の頭の周りを飛んでいる

ハゲタカが死体の周りにいる

最後の一欠片まで食い尽くす

僕の問題じゃない、僕にもくれ”

これが意味するところは、グローバリゼーションの拡大による先進国の罪深さだといわれています。

歌詞に大きな影響を与えたとされるナオミ・クラインの著書「No Logo」(邦題:ブランドなんか、いらない)にもあるように、

1980年代の冷戦以降、世界中で資本主義が大きくなるにつれ、大企業は商品の生産を発展途上国に委ねるようになります。2000年当時、そこでの過酷な労働状況が問題となっていたのです。

欧米諸国のみならず、私たちが暮らす日本もそれらの企業が作り出す商品を買い、利用し、消費している。

そんな状況を書いているのが上記の歌詞。つまり、ハエやハゲタカは多国籍企業であり、私たちでもあるのです

やれるだけのことをやる?

You can try the best you can
You can try the best you can
The best you can is good enough
You can try the best you can
You can try the best you can
The best you can is good enough

提供元:Musixmatch ソングライター:Radiohead ©️Warner/chappell Music Ltd

「Optimistic」のコーラス部分ではこのように歌われます。

「君にできるだけのことをするんだ それで十分だ」

この

「出来るだけの事をする」

「you can try the best」

洋邦問わず、昔から使い古されてきたようなフレーズですが、

「楽観的」と名付けられたこの曲で歌われる「出来るだけの事をするんだ」は、

一体どのように捉えられるのでしょうか。

2000年時のグローバリゼーション問題から、20年以上経った今

もう一度考えてみる必要がありそうです。


ただ普通に聴くだけでも、音が柔らかくて気持ちいいのでおススメです!

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